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半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義  (読書メモ)

宮崎駿の「風立ちぬ」をきっかけに行われた対談。

2013年7月。

半藤一利さんは文藝春秋だった人で昭和史に詳しい。

半藤さんの奥さんが夏目漱石の孫娘。その母親が漱石の長女、筆子。

宮崎駿も「草枕」、「三四郎」が好きなんだそうで、その話で盛り上がる。

漱石が熊本五高の教員時代に小天温泉へ行き、前田家別邸の離れに宿泊して過ごす、これを素材にして書いたのが草枕なのだそうだ。

半藤さんは旧制長岡中学から旧制浦和高校へ。

宮崎の父親は両国の生まれ。震災記念堂(現・東京都慰霊堂)の裏の亀沢町で生まれる。

父親は工場をやっていて、零戦の風防と月光の翼の組み立てをしていた。

宮崎は零戦の風防が物置の土間に新品が2つ置いてあったのを見た記憶があるという。

零戦は戦後復元したものが靖国神社遊就館に入っている。

宮崎は博物館の飛行機は死体みたいな気がするそうだ。

宮崎は飛行機、戦艦、やたらに詳しい。

トトロのあと、スタジオにいい撮影台を二台導入。「大和」「武蔵」と名付けたとか。

祖父の父親が長岡から出てきたとか、河井継之助の部下だったとか言ってたが法螺じゃないかとか。

タバコについても、

で、成人してから吸ったら。「ほんとにこれは気持ちいい」と思いまして、それ以来一度もやめようと思ったことないです。ただし吸いすぎると不味くなるんですよね。

とか。

零戦の放物線の曲線は難しくて描けないんだって話を何度もする。

肝心の愛国論については腰抜けの愛国論ということだそうで。

ぼくはいずれ中国の共産党政権は崩壊すると思っているんです。でも、それは平和になるなんていう意味じゃなくて、大混乱時代になると思うんです。

とか。

堀辰雄は自宅に集まってきた若者たちに、「戦後の世界の希望は、ヨーロッパに生まれる民主的な社会主義国の連合だ」という話をしていたというのです。

これが今のEUのような国家間の連合のことだとか。

尖閣問題は棚上げにしてもいい、30年で世界に国境がなくなる、東アジアもEUの方向性だ。

国益どうのこうのがなくなる。これがグローバル化だ。

みたいな話。

まあ、2013年なのでまさかこんな2018年がくるなんて夢にも思わなかったんだろうが、縁側でじいさんたちがのどかにしゃべってるって感じの内容ではある。

もしほんとにそういうグローバル化が起きたらまっさきに怒り出すのがこういうじいさんたちのような気もするが。。

宮崎駿というのは未来少年コナンみたいな、文明批判というか、反帝国主義というか、そういう社会主義的な思想の持ち主なんだろうなと思っていたんだけれども、果たして、その一方で海軍の戦闘機やら軍艦が好きという自分自身とどういう折り合いをつけているんだろうか?

草枕・二百十日 (角川文庫)

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