- 作者: 鈴木荘一
- 出版社/メーカー: 毎日ワンズ
- 発売日: 2017/03/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「幕末史を見直す会」を主宰している作者による幕末から鳥羽・伏見の戦いまでの歴史を描いた本。
戦いに勝った薩長側からではなく負けた側からの視点、ということで徳川慶喜を評価している。
作者は、中学生の時会津若松に引っ越した。
そんなある日、級友の一人が、 「ほら見ろ。あれが小田山だ。あそこからお城に大砲を撃ち込まれたんだ」 と悔しそうに語った。
のがきっかけで歴史観が生まれたというから、完全にアンチ薩長だろう。
こういう体験があるかないかはとても重要である。
阿部正弘がアメリカのペリー艦隊の要求について大名や幕臣、さらには江戸の庶民からも意見を集めた話とか。
「勝敗を度外視しても、ペリー艦隊に乗り込んで日本刀の切れ味をみせてやりたい」
と言った話とか。
江戸城無血開城については勝海舟と西郷隆盛ではなく、和宮の仲裁のおかげだと断言している。
幕府がアメリカに使節団を送り、友好ムードを盛り上げたが、使節団には福沢諭吉もいて、アメリカの少女と一緒に写真に写ったとか。(福沢諭吉は完全に、にやけている)
坂本龍馬については、ブローカー、密貿易=違法行為による反政府集団への武器売り込みでボロ儲け、という評価。
京都での攘夷の嵐、天誅の非道、さらに鳥羽・伏見の戦いの前の西郷隆盛の指示による相楽総三の江戸町内でテロ行為についてかなり詳しく書かれている。
この辺が幕末史を暗いイメージにしてるよね。
そして最後西郷隆盛は相楽総三を見捨てて犯罪者として処刑する。
一体どこが「敬天愛人」なのかと。
徳川慶喜がいきなり大阪城から脱出して江戸に行っちゃったのもきっかけは会津藩の神保修理の諫言(かんげん)だったというのだ。
「錦旗を掲げた者は、たとえ何者であっても、官軍でございます」
まあ、会津藩らしいっちゃらしいが。。
そして戊辰戦争で勝利した西郷隆盛は東北からの戦利品を食禄として配下に与え、日本近代化の飛躍のために搾取した。
これが今社会問題にもなっている「いじめ」の元祖だという。
会津藩は和平の道を模索していたという話。
広沢富次郎が西郷隆盛に和平嘆願のため面会を求めたが拒絶され、逆に捕らえられて獄舎につないだという。
これも賞典禄の財源確保のため。
西郷どんについてはボロクソだが、まあ、話半分としてもそういう支離滅裂な人だったというのは概ね間違いがないところなんじゃないでしょうか。
大河ドラマでも「んじゃ」っつってとっとと鹿児島に帰ってしまった西郷どん。
残された大久保どんが狂ったように笑っていたのがようやくリアルっぽくなってきていい感じでしたよね。
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