以前こちらの記事で触れた内容だけど。
日本の戦争中に、今で言う座間市、大和市のあたりにあったという高座海軍工廠(海軍の戦闘機組み立て工場)で台湾の12歳から19歳の若者が働いていて、そこに三島由紀夫もいた。
三島由紀夫は穴掘りをしていたらしいが、12歳13歳の台湾人の少年を子分にして雨月物語を話して聞かせていたんだそうだ。
その雨月物語とは一体どういう話なのかというと、怪異譚、つまり怪談である。
山奥の木が茂る木立の中の天皇の墓にお詣りに行って、一首歌を詠んで、ちょっとうとうととしたら、本人が化けて出てきた。恨みつらみ言うので諭した話とか。
宿を貸してあげた侍が病気で大熱を出したので、看病して治療してあげるとやがて回復し、信頼しあうようになり、兄弟の盟をした。しばらくして侍は国元を見に行きたいと言う。必ず次の秋の何日には帰ってきて下さいと約束する。そして、その秋の日になり、帰ってこないか。。とあきらめかけた夜になってぼーっと帰ってきた。喜んで一晩語り合ったが、実は彼はもう死んでいた話とか。
女房を一人家に残して京へ商売しに行き、儲けていっぱしの人間になって帰ってきてみると家はボロボロ、女房は垢で真っ黒になっている。それでも喜んで一晩語り明かして、朝目が覚めてみると、家はなく、野っ原に寝ていた。女房はとっくの昔に死んでいた。
魚のように自由自在に泳ぎたいなあ、と思っていたら本当に魚になってしまった坊主の話。魚になって泳いでいたら腹が減り、ついつい釣られてしまう。そして自分の知り合い達が宴会しているところに運ばれ、今まさに包丁でさばかれるか、ってところで人間に戻った。
旦那の浮気に怒った女が恨みから鬼となり、旦那にとりついた。陰陽師に頼んで身体中に字を書き込み、全ての戸に朱符をはりつけて封印し、42日間耐えるということなった。最終日の42日目にとうとうだまされて外に出てしまい、惨殺される話。
効験ある鞍馬寺の法師を瞬殺するほどのすさまじい毒気を持った蛇女の話、等々。
三島由紀夫はこちらの本の解説を書かれているんですね。
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台湾人の少年達を「恐るべき子供たち」と呼んでいる。
12歳ったら今だと小学6年生かそれくらいですよね、そういう子供によりにもよってこんな怖い話を聞かせるとは、三島先生も人が悪い。
もしかするとその時のことを覚えている方がまだ生きているかもしれませんね。